負の反転。
写真を知る
光を知る
あなたにとって写真は何か
私にとって写真は何か
あなたの記録
私の記録
光が消える時
写真が生まれる
私にとって写真とは
私の居た時間、感じた空気
ファインダーを覗き
シャッターを切る
掴めそうで掴めない
決して手には入らない何か
その一瞬、光は消え記憶となる
負の反転。
写真というものは人だけでは決して成り立たない、カメラという機械が根底にあり、その機械が表現を担うからだ。
その為ある程度カメラが扱えれば、表現が簡単に出来てしまう。
それは写真の面白さであると同時に危うさでもあると私は考える。
私はこの作品で、写真とは何か考えた。
写真は、被写体に反射した光がレンズを通り、フィルムに記録される。
光を切り取る写真、その本質はネガにあると考えた私は、ネガを主題とした写真を展開する作品を作ろうと思った。
フィルムで撮影した作品は、ネガを反転させプリントする。私はデジタルで撮ったポジを反転させネガにし、プリントした。
過去のやり方を現代のやり方で形にする事で、写真の本質を考えるプリントを表現したかったからだ。
ここにある写真は、私が生活の中にみた光や自然、訪れた街の記録だ。
写真を分からないまま歩き、感じるままに切り取っていった。
その先に何があるのかは分からないまま、目の前に広がる日々をひたすらに記録した。
でも残念なことに、僕が一番見たかったものは全てカメラに奪われてしまう。
何かを感じ、シャッターを切ったその時、僕の視界は真っ暗になりその風景は変わっていくのだ。
その時記録として残したものが、後に記憶に変わるのだと私は思う。
写真とは儚いものだ、記録したイメージ、捉えた本人はそれを見ることが出来ないのだから。
写真とは光が消えた時に生まれる。
この作品は、写真とは何かという問いに対する、無数にある答えの内の一つになればと私は思う。
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